……あっ、きちゃった。
 お昼休みにクラスの子と一緒にお弁当を食べていると、下腹部に違和感を感じた。
「ちょっとごめん」
 お弁当箱を置いて、机の物入れからナプキンが入っているポシェットを取って立ち上がった。
「千尋、今日あれ?」
 仲良しの京子が心配して声をかけてくれた。
「う、うん」
 始まっちゃうと歩きにくいんだ。ずれないように早足で女子トイレに向かった。一番奥の様洋式の個室に入って、ショーツを下ろして便座に腰掛けた。ショーツに張り付けたナプキンを調べる。
 やっぱりだ。ナプキンは透明なおつゆでべとべとになってる。ショーツからナプキンをはがして、丸めて筒のようにして……僕のお股の間で大きくなったオチンチンを包んで上下させる。
「んッ……」
 思わず声が出そうになった。気持ちいいよぉ……。ゆっくり味わっていたいけど、早く溜まってるものを出して鎮めなきゃ教室に戻れない。僕、女の子として女子校に通っているのに、時々こうして女子トイレでオナニーしちゃうんだ。だって僕、本当は男の子なんだもん……。教室で女の子達に囲まれていると、いけないことだと解っていてもオチンチンが大きくなっちゃう。でもしょうがないよね、男の子の生理現象だもん。
 さっきまで向かい合ってお弁当を食べていた親友の京子を男として妄想の中で犯す。抱き合ってキスして、制服を脱がせていく。着替えも一緒だから、京子の体つきや付けてる下着まで詳細に思い浮かべることが出来る。少し子供っぽいピンク色のチェック模様のブラの下の小ぶりな膨らみ。机の上で足を開かせて僕のオチンチンを京子のアソコに強引に入れて激しく腰を動かす。オチンチンをこする手の動きも早くなる。
 あっ、もう出そう。
 その時だった。突然、僕が入っている個室のドアが開いた。 
「あっ、ごめんなさい千尋さん……ってあなた何やってるの!?」
「ふ、ふじよしさん……」
 鍵を閉め忘れてしまったんだ。女子のグループを仕切ってる藤好さんが、ナプキンでオチンチンを包んで上下させている僕を見下ろしていた。視線が僕のオチンチンに釘付けになっている。その表情は眉をひそめて口元は歪み、まるで生ゴミの入ったバケツの蓋を開けたような表情だ。
 男だってばれた。でもイク寸前だった僕は手を止めることが出来なくて、そのまま上下運動を続けた。
「あっ、だめぇっ! みないでぇっ!」
 ナプキンの中に熱い精液がビュルビュルと放出された。トイレの壁に精液がかかってだらだら流れていく。藤好さんに見られて、余計に興奮してしまった。いつもより一杯出ちゃった……。
 僕の興奮が納まると同時に、昼休みが終わるチャイムが鳴った。
 藤好さんは怖い顔をしたままゆっくりドアを閉めた。そのままどこかに走っていく足音がした。
 どうしよう、バレちゃった。この女子校には戸籍謄本をいじくって性別を「女」にして入学してるから、バレたら退学になるかも……。
 いつものように使用済みナプキンを丸めて生理用品のゴミ入れに捨てると、トイレを出て教室に戻った。
 恐々教室を覗いた。藤好さんは何事もなかったように席についていた。みんなには黙っていてくれたのかな。ほっとして僕も席に戻った。

 何事もないまま午後の授業が終わり、放課後になった。
 あー、今日はびっくりしちゃった。まだオチンチンが落ち着かないし、早く帰ろうっと。
 鞄を持って立ち上がろうとすると、藤好さんと仲良しグループが僕の席の周りを取り囲んでいた。
「ちょっといいかしら。話があるんだけど一緒にきてくれる?」
「な、なぁに……?」
「いいから来て、千尋さん。いえ、千 尋 く ん」
 僕の耳元でボソッと言った。やっぱり黙っててくれなかったんだ。ぞっとした。
 藤好さんたちのグループに囲まれて廊下を歩いていく。どこに向かってるんだろう。
 向かった先は北校舎の女子トイレだった。僕は女子に押されるようにしてそのまま女子トイレに入ってしまった。
 女子達に追い込まれるようにして女子トイレの奥まで進むと、最後に藤好さんが入ってきた。入り口のドアが閉まった。
「話って、なに?」
 張り詰めた空気に耐え切れなくなって、恐る恐る、言った。
「訊きたいのはこっちだよ。私達に嘘ついて隠してることがあるよね。出しなさいよ」
「出すって……」
「スカートの下に隠してる汚いモノをみんなに見せなさい。早く!」
「は、はい!」
 スカートに下から手を入れて、ショーツを下ろした。スカートの裾を震える手でゆっくり持ち上げた。
「うわ、ほんとだ」
「千尋さん、ホントに男の子だったの」
 女の子達が僕のオチンチンをみて口々に言った。
「アンタなんなのよ。なんで男の癖にそんなカッコしてんの? 女子校でしょ、ココ」
 藤好さんが腕組みして怖い顔をしていった。
「ご、ごめんなさい。僕、小さな頃から可愛い物が好きで、この学校の制服にあこがれて、どうしても入りたかったんです」
「可愛いものが好きだからって、そんなもんぶらさげて女子トイレ入る必要ないんじゃないの? それも、その……いやらしいことしてたでしょ? まるっきり変質者じゃない。男が女に成りすまして女子トイレに入った時点で犯罪よ、犯罪」
「それ以前に男の癖に女の子の振りして女子校に入ってる時点でまずいでしょ。学校はコスプレ会場じゃないっての」
「着替えも一緒だったよね。私達のコトいやらしい目で覗いてたんじゃないの?」
「このまま警察呼んだほうがいいんじゃない?」
 周りの女の子たちも口々に僕を非難した。
「け、けいさつ。それだけはゆるしてください! ごめんなさい、僕、女の子にあこがれてただけなんです、オナニーしてたのはオチンチンが大きくなっちゃって仕方なく……」
 僕は怖くて脚がガクガク震えてオシッコを漏らしそうになった。
「アンタ、ばか? チンコがおっきくなったら仕方ないんだったら、この世は変質者の天国じゃない。そうならないように男と女に分けてんでしょうが。そんなに女の子になりたいんだったら、そのみっともない出っ張りをどうにかしてからにしなさいよ。いまここで切り落としてあげようか?」
 藤好さんが怖い顔で笑いながら言った。
「ごめんなさい、ごめんなさい、何でもするからみんなには言わないでくださいっ」
 僕はショーツを下ろしたまま両手をスカートの前で合わせて直角に頭を下げた。
「冗談よ。そんな汚いもの触りたくないし」
 恐る恐る顔を上げると、藤好さんは優しい表情で組んでいた腕組みを解いた。僕はほっとして身体の緊張を解いた。
 その瞬間、藤好さんが僕の股間を前からそぎ落とすように蹴った。
「ひぎいっ」
 股間から脳天まで杭を打ち込まれたような衝撃が走った。経っていられなくなって身体を二つ折りにしてトイレの床に倒れこんだ。出そうだったオシッコが押さえた手の間から勢い良くあふれ出てスカートを濡らした。
「あーあ、ちゃんと拭いて綺麗にしなさいね。あんたの身体はあたし達が綺麗にしてあげるから。逃げちゃダメよ」
 なかなか過ぎ去らない激痛で切羽詰った頭の中に、女の子たちの冷ややかな笑い声が響いた。

 久しぶりに教室のドアを開いた。胸がドキドキする。
「おはよう」
「おはよー、あっ、千尋。身体はもういいの?」
 藤好さんが僕に優しく声をかけてくれた。
「う、うん……」
「あっ、千尋。もう身体よくなったの? 大変だったね、手術」
「良かったね、悪いところが取れて」
「これで千尋は私達と同じ女の子の仲間ね」
 クラスの女の子がまわりに集まって祝福してくれた。
 京子もやって来た。
「私たち、これで本当のお友達になれるね」
 にっこりと微笑んで言ってくれた。
「みんなありがとう!」

 ――あの日、男だってばれた後、僕はお医者さんでちゃんと身体を女の子に治してもらうことになった。
 藤好さんのお父さんの病院で診断書を書いてもらい、身体を女の子に治す薬の注射をしてもらってる。
 先月、オチンチンを手術で取ってもらって綺麗な体になった僕……私は正式に女子生徒としてこの女子校に通えることになった。女性ホルモンのおかげで前より肌や体つきがずっと女の子らしく綺麗になって、それにおっぱいも大きくなってきて、それが嬉しくて仕方ない。もうすぐ戸籍も女の子にしてもらえる。
 お父さんもお母さんも私が内緒で女の子として女子校に通っているのを知ったときには驚いていたけど、女子制服姿を見せると「お前はそのほうがいいかもしれないな」って言ってくれた。
 女装して女の子に成りすましたりしないで、最初からこうすれば誰にも迷惑がかからなかったんだね。
「あたしトイレ」
 藤好さんが立ち上がった。
「あたしも」
「わたしもー」
 いつものグループの子が立ち上がった。
「千尋もいらっしゃい」
 藤好さんが微笑んで言った。
「いいの……?」
「ええ。みんなにも千尋がちゃんと女の子になったところを見せてあげて」
 クラスの子と一緒に、赤い女の子マークのついたドアをくぐった。
 あの時オナニーをしていて藤吉さんに見つかった個室に入った。ショーツを脱いでスカートをめくり上げた。洋式の便座に和式のようにして脚を開き、みんなにアソコが見えるように前を向いて座った。
「私の女の子のオシッコを見てください!」
 みっともない出っ張りが消え去って、綺麗になった私のアソコから、勢い良くオシッコがほとばしり出た。
 もう嘘をついたり隠したりして、ビクビクする必要はないんだ。
 私、女の子になって幸せです。(終)